動脈硬化のリスクを高める危険因子

動脈硬化のリスクを高める主な危険因子には、下記のようなものがあり、危険因子に一つも当てはまらない場合は低リスク群、12つ当てはまる場合には中リスク群、3つ以上当てはまる場合には高リスク群に分類されます。また、糖尿病・脳梗塞・閉塞性動脈硬化がある場合には、当てはまる危険因子の数に関係なく高いリスク群に分類されます。

  • ・加齢(男性は45歳以上、女性は55歳以上)
  • ・喫煙
  • ・糖尿病(耐糖能異常も含む)
  • ・冠動脈疾患の家族歴
  • ・高血圧
  • ・低HDLコレステロール血症

閉経後の女性は注意を
女性は女性ホルモン(エストロゲン)の働きのため、男性に比べてコレステロールや中性脂肪が増えにくいのですが、更年期になるとエストロゲンの分泌が急激に減少するため、中性脂肪やコレステロールが増えてしまいます。 女性は50歳くらいまでは、男性に比べてコレステロールは高くなりません。 しかし、更年期になると女性もコレステロールが急増することがあるので注意してください。

高脂血症の合併症
高脂血症が引き起こす病気には下記のようなものがあります。
・動脈硬化
・心筋梗塞
・脳梗塞
・コレステロール性胆石
・糖尿病
・痛風(高尿酸血症)
・急性すい炎
・脂肪肝
など

中性脂肪が高い人は注意!

・急性膵炎
高脂血症の合併症に急性すい炎がありますが、中性脂肪が高い脂質異常症(高トリグリセリド血症)に多く発症します。急性すい炎は激痛を伴い、30歳代~50歳代の男性に多く発症しています。 急性すい炎を発症して脂質異常症に気付く場合も多いです。アルコールをたくさん飲む人に多いので、お酒の飲みすぎには注意が必要でしょう。

・低HDL
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、動脈硬化を防ぐ働きがありますが、中性脂肪が増えると、HDLコレステロールが減少してしまいます。 そのため、中性脂肪が増えると、HDLコレステロールが減少し、動脈硬化のリスクが高まるとされています。

食事療法
1日の適正エネルギー(kcal)=標準体重(kg)×活動量
*活動量(目安):軽い活動(事務職)なら25~30、 中等度の活動なら30~35、重労働なら35~

一般には、総コレステロールで5%、中性脂肪で10%低下すれば、食事療法の効果ありと判断されます。1~2ヶ月食事療法を継続して、効果が見られない場合は、薬物療法を考えても良いでしょう。

食事療法1

運動療法
高脂血症に対する運動療法は、中性脂肪を下げ、HDL-コレステロールを上昇させる効果が期待されます。
運動療法は、運動することにより全身のインスリン感受性を改善させることも知られており、血糖値の改善にも効果があり、さらに血圧低下にも効果が見られます。

運動療法の実際
・運動の種類は、全身を使う有酸素運動(早歩き、ジョギング、水泳、サイクリングなど)
・運動の強さは、体力の50%程度(最大酸素摂取量の50%*、脈拍数で110~120/分を目標)
*1分間心拍数=138-(年齢X1/2)
・運動量は、1日平均100~150キロカロリー(1週間あたり1,050キロカロリー)を目標に
脂肪組織は、充分時間をかけて処理することが必要で、燃やすためには充分な酸素(有酸素運動)が必要です。

運動療法2
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