心臓は1日に約10万回、生涯休みなく拍動するポンプで、このポンプを動かすために流れる血管が冠動脈です。
この冠動脈が細くなったり、つまったりして血流が悪くなった状態が狭心症や心筋梗塞です。

心臓と冠動脈

冠動脈

狭心症

狭心症は発作的に、胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。

原因
血管内腔が狭くなることにより、心筋に十分な血流・酸素が送り込めない時に胸の痛みが起こります。血管狭窄の原因の大多数は、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などに引き続いて起こる動脈硬化です。そのほか、血管けいれんも血管狭窄の原因となります。
症状
代表的な発作の症状としては、胸が痛い、胸がしめつけられるなどがあります。大多数は胸の症状として現れますが、上腹部(胃のあたり)や背中の痛み、のどの痛み、歯が浮くような感じ、左肩から腕にかけてのしびれ・痛みとして感じることもあります。
また、痛みの程度は、冷汗を伴う強いものから、違和感程度の軽いものまであります。とくに糖尿病の患者さんは、病変の重症度に比べて、症状を軽く感じることが多く、注意が必要です。

発作が起きた時
(1)発作がすぐにおさまる時
胸痛などの症状が現れ、労作・ストレスが取り除かれたあと数分で改善した場合は、急いで病院を受診する必要はありませんが、数日以内に循環器科または内科を受診し、検査を行う必要があります。
心臓の負担になるような運動は避け、なるべく安静にします。また、喫煙は血管を収縮させるため禁煙が必要です。
(2)発作がすぐにおさまらない時
発作が5分以上続く時、1日に何回も繰り返したり発作の頻度が増えてきた時、今までより軽労作で症状が現れた時、また冷汗を伴うような強い痛みを感じた時は、不安定狭心症や心筋梗塞の疑いがあり、緊急の処置が必要です。早急に病院を受診してください。

心筋梗塞

心筋梗塞
急性心筋梗塞の半数には前駆症状として狭心症がありますが、残りの半数はまったく何の前触れもなしに突然発症するので、予知が難しいことが問題です。
原因
冠動脈壁の粥腫の崩壊とそれに引き続いて起こる血栓の形成のために冠血流が急激に減少するという共通の病態に基づいて発症するものと考えられるようになりました。

冠動脈の動脈硬化を進行させる因子を冠危険因子といい、高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、痛風、中性脂肪、運動不足、精神的ストレスなどがあげられます。

症状
急性心筋梗塞は多くの場合、胸部の激痛、絞扼感(締めつけられるような感じ)、圧迫感として発症します。胸痛は30分以上持続し冷や汗を伴うことが多く、重症ではショックを示します。胸痛の部位は前胸部、胸骨下が多く、下顎(かがく)、頸部(けいぶ)、左上腕、心窩部(しんかぶ)に放散して現れることもあります。随伴症状として呼吸困難、意識障害、吐き気、冷や汗を伴う時は重症のことが多いとされています。
高齢者では特徴的な胸痛でなく、息切れ、吐き気などの消化器症状で発症することも少なくありません。また、糖尿病の患者さんや高齢者では無痛性のこともあり、無痛性心筋梗塞は15%程度に認められます。

狭心症・心筋梗塞の予防
・禁煙する
・塩分・糖分・脂肪分を取り過ぎない
・バランスのよい食事をとる
・適度な運動をする
・ストレスを避け、規則正しい生活を送る
・血縁者に心筋梗塞の患者がいれば生活習慣に注意を
・高血圧・糖尿病・高脂血症の早期発見を

強い胸痛を感じたらすぐ病院へ!

心疾患詳細ページはこちら